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ザンボット 3 & ダイターン 3

『機動戦士ガンダム』
劇場版 総音楽集

『機動戦士ガンダム』
TV版 総音楽集
⇒「ガンダム/ビッグバン・プロジェクト」1998


松山祐士インタビュー (CD『機動戦士ガンダム』TV版総音楽集 解説書収載)

“「長い眠り」はホワイトベースのための曲だったんです”

―― 『ガンダム』に取りかかるとき、前2作とは音楽の傾向を変えようという
お話があったのでしょうか。

松山:最初に、サンライズの故・岸本(吉功)社長(当時)と富野(由悠季)監督と
渡辺岳夫先生と私と4人で打ち合わせを持って基本ラインを決めるときに、
岸本さんから「不退転の気持ちで作ってくれ」と言われたんです。
単純なSFものにはしたくない、男のロマンを感じるものがほしい、少々予算的なところで
無理があってもなんとかするから、スケールの大きいものを作ってほしいと。
そこからシンセサイザーを多用したものではなくオーソドックスな音楽で、
ロマンを感じるものというのが基本になりましたね。

―― 松浦音響監督の音楽メニューも、それまでとは違っていましたか?

松山:通常の劇伴(BGM)のメニューは、「ブリッジが何秒、悲しい曲何秒」
というスタイルで出てくるわけですが、ガンダムではそういうことよりも、
キャラクターの音楽を非常に大事にして、作曲家に音楽をまかせる部分を数多く
作っていただいたことが、他とはまったく違っていました。それと、
ふつう勧善懲悪の話なら必ずある、悪い奴の音楽がない。
それはこのシリーズの特徴でしたね。敵味方の色分けがないというのが……。

―― レコード化されることも、はじめから決まっていたのでしょうか。

松山:藤田(純二)さんが猛烈にがんばったわけですよ。当時、キングに鈴木さん
という方がいて、偶然にも、昔、米軍キャンプで一緒にプレイした仲だったんですが、
彼がプレイヤーを集めてくれました。「レコード会社で劇伴を録るのか」という
とまどいがあったのが、強烈な印象として残ってますね。ともかく、劇伴なのに
3管編成ですよ。弦は4・4・2・2。贅沢ですねえ。
岸本さんは、本当に入れ込んでいたわけです。

―― 渡辺岳夫先生は、作曲にあたって先に曲名を決めてイメージをふくらませたと
書かれているんですが、松山先生はどうですか。

松山:同じです。最初に打ち合わせしたときには、台本もなくて音楽先行でしたから、
それしかなかったんです。。劇場版でもオープニングに使われた曲(「長い眠り」)があるでしょう。
あれも、ホワイトベースの出てくるところを印象的にしたいから、それをイメージして書いたんです。
劇場で聴いたときには、こんなシーンに使うのかと驚きましたね。

―― あの曲は、ホワイトベースの登場シーンを想定していたんですか?

松山:この曲を作ったときには、大河原さんのあの船というか飛行機というか、直線的な
絵しか判らなかったので、それに合うようにするために、音楽も直線的に作ったんですよ。
ちょうど引越しをしたばかりで、家の中がごちゃごちゃになっているときに、
ピアノのまわりだけ片付けて書いたので、すごく印象に残っています。ともかく、
間に合わせなきゃいけないということと、みんなの思い入れもすごかったですから。

―― 作曲の期間はどのくらいあったのでしょう?

松山:1週間あったかどうかですね。引越し後、座るところや食べるところを確保して……
なんて余裕すらなかったですから。

―― 渡辺先生と松山先生が分担して曲を書かれるとき、曲に対して
意見交換することはありましたか?

松山:それは、まったくなかったです。音楽の性格が違うでしょう。
作曲家だけの打ち合わせのときも、そこははっきりしていました。お互いプロですからね。

―― 第2回録音のときは、第1回録音とは意識して変えようと?

松山:2回目のときは、藤田さんが前面に出てきましたね。彼はクラシック音楽に大変造詣が深くて、
マーラーが大好きなんですよ。だから、マーラーで行こうとかね。だけど、
同じものを作っても仕方がないし、そういう部分でずいぶんやりあった記憶がありますね。
だけど、彼がそうやってイメージを膨らませた部分があったから、
より豊富な内容になったことも事実ですよね。

―― 1曲が長めですが、これもアルバム志向だったのでしょうか?

松山:そうです。実際にTVで使われるときは30秒ぐらいで切られるのを承知で、
長めに録音したわけです。藤田さんとしては当時すでに、LPで勝負だというのが、
頭にあったのではないでしょうか。1回目は、ともかく作品の傾向を出そうというところに主眼があって、
それでひとつのスタイルができたわけです。それから少し幅を広げようというとき、
あまりクラシック的な手法だけではつまらないし、かといってシンセサイザーで
ガチャガチャやるのだけはよしましょうと。シンセサイザーの音楽は必要だとしても、
それがメインではなくて、少し新し目の感じが出るように、という狙いはありましたね。

―― セカンド・アルバムの当時の印象は、どうでしたか?

松山:あのジャケット(安彦良和・画)を最初拝見したとき、ちょっとびっくりしました。
ずいぶん凝っているじゃないですか。え、こんなしゃれたのでいいの? と。

―― 当時書かれた曲を今聴かれてみて、いかがですか?

松山:音楽が若いですね。勢いとかリズムももちろんそうですが、伝えようとしている
メッセージが強いですね。改めてこうやって聴いてみると、
われわれの人生そのものだった気もしてきます。あの頃こんなことがあって、
仕方なくてこうやったんだよな、でも楽しかったよな……みたいなことを、
思い出しますもの。ぼくと渡辺岳夫先生とは、事務所が同じだったわけでもなく、
それぞれ独立してやっていた仲で、個人的に友好関係ができて一緒に仕事をしてきたわけです。
こうやって何本か、20年以上もたった今でも評価していただける作品ができたことは、
本当に感謝していますね。


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